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JOURNAL — 読みもの

0.5ミリと闘うパタンナー、田中の定規

大阪本社のパターン室に、二十二年使い込まれた一本の金属定規がある。よく使う目盛りだけが、鈍く光っている。その持ち主、パタンナーの田中さんに、ミリ単位の仕事の話を聞いた。

光る目盛り

田中さんの定規は、端から十センチあたりの目盛りだけが、銀色に光っている。「いちばん触るところですね。カップの補正は、だいたいこのあたりの数字で決まるから」。二十二年分の指の跡が、道具に刻まれている。

インナーウェアのパターンは、わずか0.5ミリで着け心地が変わる。締めつけるか、支えるか。痕が残るか、残らないか。その境目を、田中さんは指先で覚えている。

曲線は、定規で引けない

「面白いのは」と田中さんは言う。「インナーの線は、ほとんどが曲線だということ。定規は直線しか引けないのに」。身体は曲面でできている。胸も、肩も、背中も。それを平面の紙に翻訳するのがパタンナーの仕事だ。

「でも、信じられる直線がないと、信じられる曲線も引けない」。基準になるまっすぐな線があるからこそ、その間を通る自然な曲線が決まる。だから田中さんは、まず定規でまっすぐを引く。

十四回の試着

一型のパターンが仕上がるまで、試着評価は平均で十四回繰り返される。サンプルを着て、腕を上げ、前にかがみ、一日過ごしたと想定して夕方の状態まで確かめる。「ここが二ミリ食い込む」「肩がわずかに落ちる」。そのたびに田中さんは、定規を手に取る。

次の世代のパタンナーが、彼女の隣で同じ定規の使い方を覚えている。光る目盛りは、いつか別の手にも受け継がれていく。

「信じられる直線がないと、信じられる曲線も引けないんです」

— Parfun Journal / 編集部

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