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JOURNAL — 読みもの

タイ語の「ありがとう」を覚えた日

生産管理三年目、初めてのタイ出張。言葉が通じない現場で、縫い目を指差しながら笑い合えた——そんな一日の記録です。

言葉より先に、針が通じた

大阪からラマ2工場へ。図面は送れても、細かなニュアンスは現地で直接伝えるしかない。けれど私のタイ語は挨拶程度、相手の日本語もほとんどない。最初の朝は、正直、途方に暮れた。

転機は、一枚のサンプルだった。縫い目のわずかなゆがみを指差すと、ベテランの職人さんがすぐに頷いた。言葉はいらなかった。彼女はミシンに向かい、直したものを差し出してくれた。完璧だった。

コップンカー

思わず口から出たのは、覚えたばかりの「コップンカー(ありがとう)」だった。工場に小さな笑いが起きた。発音が、よほど危なかったのだろう。その日から、私のまわりの空気が少しほどけた。

縫い目を見せ合えば、国境はない。ものづくりには共通語がある。三年目にして、それを身体で知った出張だった。

帰りの飛行機で、タイ語の単語帳をひらいた。次に来るときは、もう少し話せるように。

縫い目を見せ合えば、国境はない。ものづくりには、共通語がある。

— Parfun Journal / 編集部

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